〜私が世界を変えていく

  1. エッセイ

言葉に細かい性格

「日本語って、難しいよなぁ」

アメリカへの大学進学を半年後に控えて、英語の勉強に余念がない娘。

「YOUって、あなたなのかあなた達なのか分からへんって思ってたけど、逆に日本語は、あなただけじゃなくて”あんた、あんたら”とかもあって、覚える言葉が多すぎるよなぁ。。」

世界で一番難しい言語とも言われている日本語。

その表現の豊かさが好きで、その場に一番ふさわしい言葉を探すことが、私は大好きだ。

「君、お前、自分、あんさん、おぬし(笑)、、、他にもいっぱいあるもんね」

あげあしとり的性格の悪さも相まってか、私は日本語の正しさが気になって仕方がない。

大切な会話中に間違えた日本語を使われると、話の本筋から頭が離れないようにするのに必死だ。

そういえば、母が繰り返し指摘する間違い言葉があった。

「汚名はいくら挽回しても汚名でしかない。汚名は返上しなくちゃ。」

汚名挽回ではなく、汚名返上が正しい

それを言う時の母は得意げに見えて、思春期の私は(どっちでもいいじゃないか)と内心思っていた。

ところが、刷り込みというのは恐ろしく、私はいまや人の言い間違い・使い間違いが気になって仕方がない。

細かい人間だな、と自分が嫌になることもあるが、
話すことを仕事にしているので、言葉に対する細かさが役にも立っている。

ものごとにはメリットとデメリットが同等数存在するというが、本当にそうだな。。

ところで、汚名挽回という言葉。

確かに、汚名返上と名誉挽回を混同した言葉ではあるが、間違いとも言い切れないのではないか。

挽回とは

”失ったものをとりかえすこと。もとへ戻すこと”
と辞書に書いてある。

例文として
”劣勢を挽回する” ”遅れを挽回する”
とも書いてあり、
母の理論(母に限らず、かつてはこの意見が主流だったようだ)に当てはめると、これらの違和感のない言葉もおかしな表現ということになってしまう。

もとへ戻す、という意味で使うのならば、汚名挽回もあながち間違いではない。

間違いだ!と切り捨てていた分離の気持ちが
またひとつ、

鎮まった。

ものごとは多面的であり、
どこから見るかによって
まるで別の意味を持つことが、ままある。

一面からだけでなく、多面的にものごとを見ることを”俯瞰する”というが、

昨今流行りの”次元”や”ステージ”というのも、これに当たるのだろう。

ステージを上げると、

ものごとをシンプルに捉えられるようになり、

生きるのがラクになる。

細かいことにこだわるのも楽しいが、
行き詰まった時には、
空高く舞い上がり
鳥の目で、ものごとを見直してみたい。



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