〜私が世界を変えていく

  1. エッセイ

欲しいのは、満腹か満足か

たべもの作家 田頭和みさんのお料理は

「満腹ではなく満足を味わって欲しい」と、

丁寧に丁寧に作られていて

優しくて力強くて、素朴で美しい。

満腹ではなく、満足

という言葉を聞いて思い出したのが

数年前の恐怖体験。

いや、正確には

なぜか恐怖ではなく
すんなりと受け入れてしまった不思議体験だった。

食べたら眠くなると分かっているのに、

”もっと勉強しなければならない”という焦燥感から

口を動かしている間だけは起きていられるという理由で、

夜中PCに向かいながら、手当たり次第にモノを口に入れていた時期があった。

散々食べた挙句、結局は眠気に勝てずに寝てしまうのだが、

さっさと諦めて寝てしまうということがどうしてもできず

毎晩、貪るように食べ続けていた。

ある晩、

(あぁ、今晩もやってしまった)

と、自分にガッカリしながらキッチンに向い

ふと目の前の窓越しに映る自分の顔を見て、ギョッとした。

そこには、皺くちゃの、ヨーダにそっくりな”餓鬼”がいた。

私の顔なのだけれど、それは紛れもない餓鬼だった。

※餓鬼=仏教の餓鬼道に堕ち、常に飢え、強欲に貪る者

その幻影を、私は

”満腹を追い求めて貪り続けると、餓鬼になってしまう”

との警告だと、冷静に見つめた。

満腹は一瞬の喜びしか与えてくれず、時になぜか後悔の念もセットで受け取ることになる。

食べ放題の店を出るときの、アレ💧

量を求める満腹という刺激には、キリがない。

一方の満足にだって、もちろん天井はないのだけれど

もっと穏やかで温かい喜びを与えてくれる。

鰹節と出汁の違いのように、じんわりと心身の深いところで味わえるのが満足だ。

量を求める満腹
質を求める満足

これから広がる二極化とは、

満腹か満足か

どちらを求める世界なのかという違いのような、気がしている。

和みさんのお料理
小松菜を茹でただけ が何故かとてつもなく美味しい。
満足としか言いようのない、美しく淡く奥行きのある味わい。

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