「自分にしかできないのは、どんなことですか?」
この答えは、人に教えてもらうしかないと思う。
私は26歳の時に人に勧めてもらってフリーアナウンサーとなったが、たった数年で出産を機に辞めざるを得なかった。世の中の情報からも疎くなり、もう戻れないと思って、未練を断ち切るためにストップウォッチやアクセント辞典を手放した。
ところが、15年以上のブランクを経て、また人に見出してもらい、再び、話す仕事をメインに活動している。
私にとって、その場にふさわしい言葉を探すことや、大勢の人の前でもあまり緊張することなく各方面に目配りをして声をかけることは、歯磨きと同じレベルでできることだ。
いちいち「あぁ、今日は歯磨きを頑張った✨」なんて労わないように、私にとって「その場にふさわしい言葉を紡ぐ」ということは、気合いを入れてやることではない。
…歯磨きだって、やろうと思わなければできないし、どれだけ丁寧に精度高く磨けるかは人それぞれなわけで、私の話す技術が素晴らしいかどうかは別の話である…
歯磨きレベルでやっていることを、自分にしかできないことだと認識するのは、とても難しいことではないだろうか。
よく考えてみると、仕事をしていない時期もずっと人前で話してきた。
幼稚園や小学校のPTA役員としての司会や、野球チームの保護者代表として、しょっちゅうマイクを握っていたが、それを私にしかできないことだとは思っていなかった。
誰でもできるけれど、一番羞恥心がない私がやればみんながラクだろう…そんな気持ちだった。
今、仕事をさせていただいているチームの方は皆、相手の才能を探すという視点で人と関わっている。
毎回、恐縮するくらい褒めていただくのだが、その言葉の中から、自分にしかできないことを見つけ、磨く日々だ。
そのうちのひとつが、
「返しがピカイチ」
芸人さんみたい…と口籠もりながら言われたが、私にとっては最大級の褒め言葉だった。
関西育ちということが大きなアドバンテージなだけのように思うが、これまでの経験、環境、すべてが今の私を形づくっているのだから、立派な私の才能だと胸を張ろう。
「自分にしかできないこと」
知りたければ、人に聞くのが早い。
そのままズバリを質問しなくても、きっと人は既にそれを教えてくれている。
その言葉を、素直に受け取る準備をしよう。

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