〜私が世界を変えていく

  1. エッセイ

子供が鍵をなくした…さぁ、どうする?

「なんでやろ、どこいったんや…」

息子の声から、力がなくなっていく。

年末に、家族でグランピングに出かけた。

ドーム型テントが2つあるサイトを借りて、今夜は男女に分かれて寝る。

その女子部屋の鍵が、ない💧

訪れた和歌山県白浜町は、海と温泉のあるリゾート地で、美味しいお魚がたくさん獲れる。

夕食は食材持ち込みのBBQを選び、近くの市場へ買い物に出かけた。

戻ってきて夕食の準備を始めていたところ、女子部屋の鍵がないことに気付いた。

出かける際に鍵をかけた息子が、

「お母さんに渡したんちゃうかなぁ…」と言う。

マジか💧

持ち物をどこに入れたのか分からなくなる、というのは私の日常だ。

お互いに自信のないまま、長女も交えて、施設内と車内をくまなく探す。

車の座席を前後に動かしてみる
かばん
服のポケット
歩いた道

ない。。。

年末にしては暖かい日だったが、太陽が沈むとさすがに寒く、辺りはもう真っ暗。

家族への聞き取り調査の結果、どうやら、鍵は息子が持っていたようだ。

さーー、こんなとき、どんな声をかけようか?

子供たちが小さい頃の私は、全く余裕がなかった。

普段は「包容力のあるいいお母さん」を演じていたけれど、こういうアクシデントが起きると、被っていた猫はどこへやら、すぐキャパオーバーになっていた。

“どうすんの、どうすんのよっ!もーー、面倒なことになった!せっかく遊びに来たのに、なんで?あーー、もーー、時間がもったいない。もーーー!”

と、思考がグルグルして、苛立ちをそのまま子供にぶつけていた。

怖い顔をして、あからさまに怒った声で

「どこにやったん?それで?なんで?だからいつも言ってるやんか!」

と、まくしたてる。

子供に迷惑をかけられたという被害者意識でいっぱい。
自分の言葉と態度が、いかに子供を傷つけるかに気がつけなかった。

いや本当は、教育という建前を傘にして子供に八つ当たりをしていることに、ちゃんと気がついていて、それで余計に苛立っていたのだと思う。

実は、いつもこっそりと心の奥底にある”私はあなたたちのために我慢をしている”という意識が、こういう時に形を変えて表面化していた。

毎日イライラして育児を楽しめなかった頃に、「子供が失敗して、親も困る状況が起きた時にどうしてる?」と問われ、ハッとした。

大変なことをしてしまった、どうすればいいのだろうか、と不安に思っている時に、それを責められたらどうだろう?

私なら、嫌だ。

私なら、嘘でも一旦「大丈夫だよ」と言ってほしい。

不安でいっぱいな時に「だから言ったでしょう!」なんて責められたら悲しくてたまらない。

世界で一番頼りにしているお母さんにそんなことを言われたら、どれだけ心細いだろうか。

大体、鍵を無くしたところで、フロントでマスターキーを借りて、チェックアウトまでに見つからなければ弁償すればいい。

ただ、それだけのことだ。

ただ、それだけのことなのに、余裕がない頃には「とんでもないことが起きた!」と大騒ぎして子供に怒っていた。

そんな苦い思い出に胸がチクリとするのを感じながら

「だいじょうぶ だいじょうぶ♪」と、

フロントで鍵を借りて、みんなでBBQの準備に戻った。

しばらくすると、

まだスッキリとはしていない様子の息子が

「あ!」と小さく声を上げた。

息子がダウンジャケットをかけたダイニングの椅子の座面から鍵が見つかった。

「えーー、なんで?そんなはずはない!おかしい!!」

と、しつこく訝しがっている息子をなだめ、

「ダウンのフードに入ってたんちゃう?」

とみんなで笑いながら、騒動は鎮火した。

相手の立場に立って考える。

ただそれだけで、世界は心地よい場所になる。

そのために、まずは、自分に余白を。

ちょっと一息、入れませんか?

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