列車はゆっくりと山道を登っていき、
景色が白くなっていく。
今冬、初めての潔い美しさ。
空海に触れたくて、高野山へと向かう。
繊細に雪を纏い、しんと鎮まる樹木に心を奪われていた時、、、
隣に座る若いカップルが、
「うわ、すごいやん!カリフラワーや‼︎」
と声を上げた。

あぁ、関西人…
もう少し叙情的な例えはないのか。
せっかくの雪景色、ところどころに雪を乗せた木々が、カリフラワーにしか見えないではないか。
「なんでやねん」
「うわははは〜」
いやはや、楽しそうでなによりでございます。。
しばらくすると
「なぁなぁ、さっき、雪を何に例えてたっけ?ほら、野菜の」
「あー、白い、茎のある、あれな…」
「えーーっと、」
あぁ、教えてあげたい。
若者達の話題はキャッキャと変わっていく。
私のうっとりを奪った”カリフラワー”を、君達はもう忘れてしまったのだな。
さらには
「こうやさんって、なんで『さん』がついてるんやろな。高野さん。」
「ちゃうやろ、山やん、高野山。」
「あぁ、それかぁ。」
と来た
…昔、京都の茶店で
「えぇー⁈グリーンティって抹茶の味する‼︎」
「うそやろ? うわ、ほんまや‼︎」
と感激していた愛くるしいカップルの姿を思い出した。

標高900m
不思議と平坦に広がる天空の地、高野山。
凍てつく寒さも相まった
雑味のない静寂に
身も心も透過性を増したように感じた。

4時間ほどの滞在でバス停へ向かうと
あのカップルが、いた。
広大な高野山
見どころ満載
バス乗り場は至るところにあり、
本数もそこそこある。
(なんでまた一緒やねん)
きっと、彼らもそう思っている。
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