〜私が世界を変えていく

「それは、あなたにとって必要なものなのか」

と問われたのは、初めてだった。

馴染みのある問いは

「あなたの欲しいものは？」
「あなたがやりたいことは？」だ。

シャンパンタワーの法則があちこちで語られるようになり

「自分を満たすことが幸せへの第一歩」と聞いて、

御多分に洩れず

私の、本当に欲しいもの
私の、本当の望み

を手に入れようとしてきた。

そして

それは思うようにならず、執着を限界まで膨らませてきた。

「それが欲しい。どうしても、それが欲しい。」

自分の心に望みを聞くと、いつも答えは同じだった。

ところが

「それは必要なものなのか？」

と聞かれたとき、

「あれ？」

と思った。

”どうしても欲しい”
”私の価値観不動の第一位だ”

と思っていたそれは、

今の私の悦びごとに、大きな影響を与えてはいないことに気がついてしまった。

20年もの間、欲しい欲しいと執着してきたのに。

駄々をこね
怒り、悲しみ、何度も涙して

それが手に入らない私は、なんて不幸なんだと嘆いてきたのに。

人生の折り返し地点は、もう過ぎている。

これまで、人から与えてもらうばかりだった。

人から奪うばかりで生きてきた。

両親に食べさせてもらい
たくさんの人から教わり
豊かな経験と知識を受け取らせてもらった。

私は、これからも欲しがって生きていくのか？
それでいいのか？

人の役に立つ人間であること

かつて

承認欲求から求めた”それ”と、
今の私が望む”それ”は、別物だ。

人に、与えられる人間であること

そのために

「私に必要なものはなんだ？」

たった一言で、景色が変わる。

私も、そんな言葉を届けられる人になりたい。